
自分に向き合いマインドを変えることで事業が拡大。有限会社祐拓開(ゆたか) 代表取締役 山岡茂美氏の起業ストーリー

福岡県で起業する女性をサポートする「Bloom福岡」では、県内で活躍する女性起業家を交えたネットワークや定期的な交流の場を設けています。今回は未経験で住宅型有料老人ホームの運営にチャレンジされた有限会社祐拓開(ゆたか)代表取締役の山岡茂美氏に、起業に必要なマインドセットや新しいことにチャレンジする際に大切な心構えなどについてお話を伺いました。
〜プロフィール〜
37歳で3児の母親だった時、予期せぬ経緯から有限会社祐拓開 (ゆたか) を創業し、高齢者事業を立ち上げました。
それから今年で20年。支えてくださった皆様への感謝の気持ちを胸に、「幸せ」を分かち合う社会の実現を目指して、挑戦し続けています。
知識も人脈もない未経験分野で起業。無我夢中の日々。
最初に貴社の事業内容について教えて下さい。
福岡県筑紫野市を拠点に複数の住宅型有料老人ホームを運営しています。
ー 介護事業で起業されたきっかけを教えて下さい。
建築関係の会社を経営する夫が、急に未経験の高齢者向け施設を始めると言い始めたことがきっかけでした。
夫は建物だけ建てて、他の方に事業を任せるつもりだったようです。一方、私は以前幼稚園の先生をしていたこともあり、経験もなく人の命を預かるような事業の立ち上げには大反対でした。でも、私が聞いたときには、すでに施設を建てるための土地を買ってしまった後で、始めるしかないという状況でした。
人の命を預かる仕事を他人に任せられないと思い、急いで介護資格の勉強をして、私が社長をすることにしたんです。
ー 当時は未就学児のお子様がいらっしゃったと伺いました。
3人の子どもがおり、一番下の子どもは3歳でした。子どもたちを路頭に迷わせるわけにはいかないという思いもあり、とにかく創業時は無我夢中の毎日でしたね。
ー 施設利用者と家族、2つの大きな責任感を感じながら創業されたのですね。
創業時はどのようなことに苦労されましたか。
20年前の当時は住宅型有料老人ホームというものが全国的にもそれほど多くなく、わたしたちの地域では初めての立ち上げでした。ですから、まず地域の皆さんに信頼いただくことが大変でしたね。
さらに、当時は介護事業に関する知識も経験も人脈もありませんでしたから、施設設立から半年経っても定員の半数しか埋まらなかったんです。既に創業から2年が経っていたので、資金が不足しないか毎日不安な日々を過ごしていたのを今でも鮮明に思い出します。
また、未経験の分野でしたから、私自身毎日勉強しながら職員の教育もしなければならないという状況でした。なかなかうまくいかず、今振り返るととにかく全てが必死だったと思います。
事業が安定したきっかけは自分事として受け入れたこと
こうした困難を乗り越えるために行ってきたことはありますか。
自分と向き合い、マインドを変えることにしました。自分が代表を務めてはいるものの、夫が起点となって始まった事業だったので、心の奥底では「やらされ感」がどうしても拭えませんでした。そこである日、自分が本当に目指したいものが何かをじっくり考えてみることにしたんです。
その時にふっと湧いてきたのが「心やすらかな時間」「感動あふれる日々」「めぐりあえたことへの喜び」という3つの言葉でした。私はこういう世界を目指しているんだと気づいたときに、高齢者施設であってもそれは変わらないし、むしろやりたいことだったんだと自分事に置き換えることで覚悟が決まりました。この3つの言葉は、今でも会社の至心になっています。
ー 自分事として受け入れることで、どのようなことが起きましたか。
入居者様、そして職員の方々にもしっかり向き合えるようになりました。
例えば、これまで、ポスティングや広告を出しても入居者が増えなかったのですが、その原因が職員との関係性だったことに気づいたんです。まずは、目の前の職員を大切にしようと信頼関係を一番に考えるようになってからは、自然と病院の方とのつながりができるようになり、3年目で施設が満室になりました。その後は口コミで入居希望者様が増えたことで、今に至るまで広告を出したことはありません。
また、私たちの施設に入居したい方に対しては、その方の状態にかかわらず、その方がどうしたいのかを最優先に考え、どうすれば受け入れられるか、職員や医療関係者の方々と考えながら進めています。それが今日の入居状況や、関係者の皆様との信頼関係につながっているのではないかと思います。

これは家族も同様です。創業当時は夫と大喧嘩しましたが、彼が背中を押してくれなければ介護事業に携わることもできませんでした。自分にしかできないことを託してもらえた、きっかけをくれたと今では感謝しています。
私の周りお一人おひとりの唯一無二の物語に寄り添い、学ばせていただこうという気持ちに変わっていったときに、自然と事業が動き出し、会社が軌道に乗るようになったんです。
自身の体験をもとに社会に貢献。学び続けること姿勢を大切に。
今後目指したいことや会社の展望を教えて下さい。
これまで歩んでこられたのは、未熟な私を信じ支えてくださった人々のおかげです。だからこそ、私たちの施設を通して御縁が生まれることで、少しでも幸せになるような居場所をつくれたらと思っています。
創業当時はとにかく事業を行うことに必死でしたが、今は人の喜びや幸せを作り出すことが私のやりたいことであり、使命なんだと感じています。今後はさまざまな形で社会に恩返しをすることで貢献していきたいです。

その一つが、「託児所付きの住宅型有料老人ホーム」の開設です。創業当時は朝早く家を出て、夜中に帰るような生活だったので、子どもの寝顔しか見られない時期がありました。学童保育や保育園の延長保育にも大変お世話になりました。こうした経験から、子どもを育てながらでも仕事がしやすい環境を整え、働く女性を応援したい気持ちで当該施設を作りました。今後は、「Bloom福岡」に参加したことをきっかけに、女性の起業を応援するような取組も行っていきたいと思っています。

ー 最後に、これから起業・創業を考えている女性へ伝えたいことはありますか。
困難に直面するたびに学び続けること、そしてとにかく動くことが大切だと思います。私自身、経験を積み重ね、乗り越えることで自信をつけるということを、これまで繰り返してきました。常にアップデートし、自己成長を続けることが大切です。
また、事業計画を立てるときには、自分の強みを生かし、軸をぶらさずに本当にやりたいことを盛り込み、考えていくことが大切だと思います。思いだけではどうにもならない部分があるからこそ、しっかり計画を立てて進めてほしいです。私はそういう時間が持てなかったので、余計に大切だと感じますね。
Bloom福岡では、山岡氏をはじめとした女性の先輩起業家との交流など、本気で起業したい皆さんをサポートする仕組みを整えております。気になる方はぜひLINE公式アカウントを友だち登録し、参加してみてください。

■会社概要
会社名:有限会社祐拓開(ゆたか)
URL:http://www.minauta.com/
所在地:福岡県筑紫野市二日市北3丁目1−23
設立:2005年
代表:山岡 茂美
■事業内容
介護事業
■問い合わせ先
以下から問い合わせをお願いします。
http://www.minauta.com/